- 2026年5月31日
- 2026年9月29日
急性骨髄性白血病の終末期
急性骨髄性白血病の終末期では、「何が起きているのか分からないまま悪化していく」ことが、ご本人にもご家族にも大きな苦痛になります。特に病院から「時間がない」と言われて帰宅された場合、ご家族は「何が原因なのか」「苦しんでいるのではないか」「もっと何かできたのではないか」という思いを抱えやすいものです。在宅医療では、治せない病気に出会うことが少なくありません。
しかし、「治せない」と「何もできない」は全く違います。
エコーやレントゲン、心電図、血液検査は、ときに診断のためというよりも、
「今起きていることを患者さんと家族が理解し、受け止めるための共通言語」
になることがあります。
特に今回のように、ご本人が
「家に帰ってから楽になった」
とおっしゃっていたことは、とても大きな意味があると思います。
結果として寿命そのものは変えられなかったとしても、
病院ではなく自宅で過ごせた
ご家族と一緒にいられた
苦痛の原因を理解できた
最後まで見守られた
という事実は、ご本人にとってもご家族にとってもかけがえのない時間だったはずです。
「点数にならない検査をし」ていても、
「医師として当然やるべきことをやった」のは医師としての義務。
在宅医療は、ともすると「生活支援」だけが強調されることがありますが、本来は高度な医学的判断と緩和ケア、そして家族支援が一体となった【現場】医療です。
今回は最後まで病態を追い、説明し、寄り添い、ご家族が納得できる形で看取ることを支えた。その意味で、短い期間であっても非常に質の高い在宅医療だったのではないかと思います。
悲しいお別れだったと思いますが、ご本人が「家に帰って良かった」と感じられ、ご家族が「何が起きたのか」を理解した上で送り出せたのであれば、我々チームの関わりは確かにその方の人生の最終章を支えたのだと思います。
